プロの仕事

数年前、ニュースとして伝えられた、某水族館からペンギンが脱出した話題。
最初はほのぼのニュースかな、と思っていたが、関係者のインタビューを見て事態の深刻さを知った。
自分たちが管理している動物が野生に逃げてしまった。

野生にいる動物にも、逃げたペンギンにも危害が加わるかもしれない。
数日して無事に保護されたペンギンは水族館に戻された。
東京湾で泳いだからか、他のペンギンよりも筋肉が発達したらしい。

いつも水族館に行くたびに、元々海にいた生物たちは今どんな心境なのだろうかと心配になってしまう。
海よりも綺麗すぎる管理された水槽で生きている今、端まで泳げばガラスにぶつかる。
昔のように大海原で思い切り泳ぐことはできないのだ。
そのことについて、絶望に感じたりしないのだろうか。

元々水族館で繁殖された水族館育ちの生物は、その世界がすべてだからそのようなストレスはないであろう。
生物の生態に関して、分からないことがまだたくさんあるとはいえ、その種がどんな水温で、どのように扱えば良いのか理解して管理してしまう人間はすごい。

きっと管理している生物が、自然にいるときのように過ごすために、日夜研究していると思う。
水族館にはメインとなる巨大水槽があるが、この巨大水槽でさえも、室内サイズだから狭い。
大きなサメと小さな魚たちが同居していることに、私たちは興味津々でのぞき込む。

分厚いガラス越しに見えているんだろうか、時折目が合う気がする。
一生、魚類や両生類とはわかり合える気はしないが、飼育員の人はコミュニケーションを取れているのかもしれない。
種別を超えての信頼関係があるとするならば、すごいことだ。

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